令和4年6月9日 第2回定例会

質問事項1
防災対策の心構えについて
 初めに、防災学習の機会についてです。
 5月19日木曜日、「江東区、城東・深川消防署合同水防訓練」が3年ぶりに実施され、集中豪雨の風水害に備えて、江東区、両消防署・消防団が災害発生を想定して訓練に取り組みました。
山崎区長から、区民の生命と財産を守ることが行政の使命と強い決意が述べられました。
 2019年、台風19号での風水害の教訓により、災害に対する知識や家庭の災害対応用の装備について、多くの機会で学んできました。
5月、全世帯・事業所に「江東区大雨浸水(内水)ハザードマップ」を配布、令和2年3月に配布した江東区洪水ハザードマップ及び江東区高潮ハザードマップに続いて情報提供した経緯は、想定最大規模降雨が令和3年3月に、隅田川及び新河岸川流域浸水予想区域図と改定・公表されたためと聞きましたが、気候変動の予想や改定内容の数値も含め、改定の必要性についてお伺いします。
 ゲリラ豪雨の氾濫に備えるためですが、全区民に避難行動等の確認をしてもらうために継続して学ぶ機会が少なく、ハザードマップの活用知識の情報が、家族を含め身についていないと考えます。
 5月1日付の区報では、避難行動指針や備蓄品リストと情報取得法の呼びかけだけになっています。
 12年前の東日本大震災後の平成27年9月に東京都から、災害発生時の行動や方法として、東京防災の黄色いブックを1家に1冊、防災マップとともに防災指針となる情報を備えていただき、自己防災の知識を学びました。
そのときに江東区では、東京防災を学ぶ機会を開催していただきました。
改めて、ハザードマップや防災知識を学ぶ機会を各地区で開催することについて、見解をお伺いします。
 次に、家庭での備蓄品の備えについてです。
 以前配布された防災リュックに備えている備蓄品について見直すことを提案します。
防災対策に関わる専門家は、江東区から配給した防災備蓄用ラジオこうとう安心ラジオ885と、ポケットサイズで単四マンガン電池2本で作動できるハンディラジオや簡易トイレ10回分、トイレットペーパー、5年保存の飲料水などが必要であるとの意見でした。
 渋谷区では、避難所対応で水2本、パン、簡易トイレ、ポンチョの装備を1人用パックとして家庭に配布した情報もあります。
 有名なアウトドアメーカーでは、一次避難、二次避難と収納内容を分けてエマージェンシーバッグを準備し、販売しています。
防災グッズを含めた家庭での備蓄品の備えについて、考えをお伺いします。
 そして、こうとう安心ラジオ885の手回し充電で発生する容量に限界があります。
スマートフォンは情報収集のインフラの一つとして重要なツールのため、ポータブル電源となるモバイルバッテリーの全戸配布を検討すべきと考えます。
 災害食として購入した缶詰などを日々の献立で消費し、定期的に買い換えるローリングストックの考えが浸透してきました。
東日本大震災後に購入した非常食が賞味期限を過ぎている家庭も多いと聞いています。
非常食も同様に日常的に食べ慣れることは必要で、食べながら備えていくことも一つの方法です。
数日間食べ続けることになっても飽きないように、和食、洋食、中華からデザートまで、種類も豊富で進化しています。
長期保存食の賞味期限は過信しないほうがよいとアドバイスもありますので、災害食デーを定めて、半年に1回ずつ家庭で食べられる日があってもよいと考えます。
災害食デーの設定とローリングストックについて、考えをお伺いします。
 都が情報開示している東京備蓄ナビの使用状態を区としてどのくらい把握され、どのような内容で連携されているのでしょうか。
家庭の人数などを選択することで、各家庭で用意する目安となる品目がリストアップされるなど、手軽にチェックできるサイトですが、区民は認知しているのでしょうか。
改めてオープンサイトの活用方法についてお伺いします。
 次に、地区別災害情報の伝達についてです。
 東京都が首都直下地震等の新たな被害想定を10年ぶりに公表し、江東区内での帰宅困難者数が約6万人増の23万7,000人強の速報値に大変驚きました。
 3月16日水曜日、23時36分に発生した地震で、区内での人的被害状況はありませんでしたが、地震直後に区内6万8,170軒が停電しました。
深夜でしたが、電気供給が止まった状態で生活が困った区民も多かったと思います。
広野火力発電所の5・6号機が停止し、電力発電供給バランスを保つため、周波数低下リレーが自動作動したことで、ブラックアウトの状態になったことを1週間後に知りました。
 私ごとですが、ランタンなど身近になく、ろうそくで明かりを取り、少々焦りました。
そこで、こうとう安心ラジオ885の電池を装備して作動させ、明かりの確保やラジオ情報を聞き、状況把握に努めました。
 翌日に多くの区民から、防災備蓄用ラジオを備えていたので大変助かったと連絡をいただきました。
そして、SNSを通してとても便利だったとお礼の声が届きました。
配布されたこうとう安心ラジオ885からの停電時の情報に聞きづらい地域もあったかと思いますが、助けられた区民も多く、特に山崎区長の電話の声をマイク連動したことで、「焦ることなく行動してください」などの直接の声が流れ、心の安らぎになった区民は少なくありません。
 この経験から、停電したときの対応として、テレビ等のメディア情報ではなく、地域に密着したラジオから各地域に素早い情報が流れることは、自分たちに安心を与えると考えます。
まずはレインボータウンFMの放送を防災センターから直接流すシステムの構築が必要でしょう。
区長をトップに防災課、危機管理課から集約した情報をオンラインで伝達できるシステムです。
停電をはじめ、道路状況、地震での火災や障害物などの情報をいかに早く防災センターに集約するために、地区別災害の情報を共有できる防災の地域災害連絡員を町会の防災担当者から募り、素早い情報を地区連絡員を通して集約するのです。
 伝達内容の決まり事は必要ですが、連合町会エリアで配置するか、深川・城東消防団の分団とも連携するため分団エリアに連絡員を配置するか、大災害に備えたラジオ・レインボータウンFMと防災センターの情報構築のシステムに関して、考えがあればお伺いします。
 2019年台風19号時、マスメディアは多摩川決壊と荒川決壊の情報が錯綜し、多くの区民が学校避難所に駆け込んだことの実態がありました。
改めて区独自の的確な災害情報の伝達システムの構築が必要です。
防災備蓄用ラジオのさらなる活用について、見解をお伺いします。
質問事項1の回答
総務部長(綾部吉行)
 まず、ハザードマップの気候変動に伴う改定の必要性についてですが、今回改定したハザードマップは、国の基準にのっとり、都が令和3年3月に改定した浸水予想区域図を基にしており、従来の平成12年の東海豪雨による雨量設定から、科学的な知見や新たな研究成果を踏まえ、現時点で想定し得る最大規模の雨量を設定しています。今後とも、国及び都による気候変動等に伴う浸水予想の修正に応じて、必要な改定を行ってまいります。  また、防災知識を学ぶ機会の開催についてですが、水害のハザードマップにつきましては、浸水想定や避難方法等について、区民から多くのお問合せをいただいております。災害時の混乱や被害を防ぐため、日頃の防災啓発は大変重要であり、これまでも町会・自治会、マンション管理組合、学校等からの御要望により、職員が積極的に地域に入り、水害対策などの防災講話を実施しているところです。引き続き、防災講話の周知・実施に積極的に取り組むとともに、近年はコロナ禍で防災講話の機会が減少していることから、オンラインや動画等も活用し、防災意識を啓発してまいります。  次に、家庭での備蓄品の備えについてです。  区では、ホームページ等で必要品目を例示しながら1週間分の備蓄を求めておりますが、個々の備蓄については、家族構成や生活スタイルにより必要な品目や量が異なるため、各家庭において必要なものを考えていただくように啓発しているところです。  また、お尋ねのモバイルバッテリーの全戸配布については、災害時のメール、SNS等による情報収集等に当たり、モバイルバッテリーの備えは有効なものと考えておりますが、自助の一環として、各自で準備していただくように啓発してまいりたいと考えています。  次に、お尋ねのローリングストックについてですが、賞味期限の近い食料を定期的に実食することは、訓練としても大変意義があると考えており、引き続き推奨してまいります。  また、災害食デーにつきましては、備蓄の内容や賞味期限は各家庭様々であり、特定の日を設定するには課題がありますが、防災の日などの機会を捉え、備蓄食料の確認や実食について啓発してまいります。  なお、東京備蓄ナビにつきましては、必要な備蓄品と必要量が調べられる有用なサイトとして認識しており、このようなオープンサイトについては、区ホームページにリンクを張るなど、積極的に周知してまいります。  次に、地区別災害情報の伝達についてです。  まず、御提案の地区別の地域災害連絡員による情報収集についてですが、本区の地域防災計画上、災害協力隊が各地区において情報収集を行い、担当の拠点避難所で報告・共有し、拠点避難所ではこうした情報を区災害対策本部へ伝達するほか、掲示等により避難者や地域住民、消防団等へ共有することとなっております。御指摘のとおり、迅速な情報収集は重要であると認識しており、区としては、まずはこの連絡体制が円滑に機能するように訓練等を実施してまいります。  次に、お尋ねのレインボータウンFMを防災センターから直接放送するシステムの構築につきましては、緊急時には、区長や区職員が災害対策本部から迅速かつ正確に災害情報を発信する必要があります。御提案のシステムについては、まずは電波法等の関連法令の確認や設備面での課題を整理してまいります。  次に、防災備蓄用ラジオのさらなる活用についてですが、本年3月16日の福島県沖地震に伴う停電の際には、多くの区民の皆様にラジオを聴取していただき、配備目的にかなった効果があったものと認識しております。引き続き、発災時に使用していただけるよう、区報や防災訓練等の機会を通じて、作動確認を兼ねた定期的な使用を呼びかけるとともに、ラジオによる効果的な情報発信体制を構築してまいります。
質問事項2
観光遺産となる復興橋の継承について
 隅田川に架かる1926年建造の永代橋と1928年建造の清洲橋は、1923年(大正12年)の関東大震災で消失した後に、ペアで建設された復興橋で、間もなく完成から100年を迎える遺産(レガシー)です。
 この遺産には、関東大震災にて被災した先人たちの教訓が込められています。
隅田川に架け替えられた現役の9つの震災復興の橋梁で永代橋と清洲橋は、1940年建造の勝鬨橋と同じく、平成19年に国の重要文化財に指定されています。
清洲橋は永代橋と異なる自碇式チェーンつり橋の優美な曲線で、夜のライトアップも美しく、耐震性も高く、今後100年は難なく使用できる、私も一番好きな復興橋です。
 江東区として、先人たちの魂が込められた観光遺産となる復興橋について、都建設局の管理下ですが、区内に架かる重要文化財としての価値について、見解をお伺いします。
 江東区に甚大な被害を与えた関東大震災で、深川地区は消失面積が80%を超え、城東地区と比べ死者・行方不明者が4,000人を超える大被害となりました。
橋が焼け落ちたことで避難者が退路を断たれたことも要因の一つと考えられ、昭和元年から7年間に154もの橋が架け替えられ、水彩都市・江東の原風景になっています。
 地元の千田橋や崎川橋、小松橋など、昭和後期に小改修で現存するものや、猿江橋、大島橋のように橋台、橋脚の補強、床版の打ち替え、桁の取替えと、新しく大改修された橋など、状態に応じて対処されていますが、区の都市景観重要建造物に指定されている亀久橋や萬年橋、福寿橋や東富橋のように、原形をとどめたトラス橋、ガーター橋、アーチ橋と、観光遺産となり得る復興橋は、江東区の景観を形づくる上で重要な要素になっています。
 残念ながら、城東地区には維持された復興橋は少なく、塩の道である小名木川に架かる橋梁では小松橋など、4橋の橋が深川地区に集中しています。
令和4年4月現在、154の復興橋のうち17橋が当時の姿を残しています。
 また、巽橋、清水橋が現在架け替え中で、防災の観点から安全性を考慮して古くなった橋は架け替える運命にありますが、後世に伝えていきたい貴重な観光遺産です。
弁天橋や緑橋は老朽化が進み、架け替え有力視されていますが、長寿化改修等の手だてはないのでしょうか。
橋梁の安全性の維持や架け替えの考えについてお伺いします。
 安全性として心配していることに、JR貨物専用線で小名木川や竪川河川敷公園に架かる鉄道橋の改修はされていません。
区としての考えをお伺いします。
 都電が走る竪川人道橋のように、「橋の記憶」となる展示や、オリジナルで色ガラスの飾りがあるデザイン性高い亀久橋の親柱や富士見橋などの橋梁の一部など、観光遺産として記念碑を設置していくことに関して、今後の計画があればお聞かせください。
 教育委員会発行の「下町文化」にて、復興から100年を節目として、国指定重要文化財をはじめとする橋梁の特集を作成して、改めて文化遺産のすばらしさを広報することについての考えがありますか。
 残念なことに、小松橋地区のシンボルである小松橋は、塗装改修されましたが、薄い青緑色が茶色に塗り替えられ、リベット止めされたクロスする補強板はクリーム色に装飾されてしまい、昔の面影はありません。
緑橋の緑色、崎川橋は青色で、東富橋は深川ねずみ色と、それぞれ個性が継承されていますが、どのようなコンセプトで計画され、色彩が決定して改修作業がされているのでしょうか。
江東区の水辺や緑道とマッチングした観光資産の復興橋であることを望んでいます。
 何度もクローバー橋でドラマロケがされていますが、江東区観光協会で江東区フィルム・コミッションを進めて復興橋の価値を広げていくことはどうでしょう。
橋梁の観光遺産としての取組を見直し、水彩都市・江東の魅力発信として復興橋が活用されることの見解をお伺いします。
質問事項2の回答
区長(山崎孝明)
 本区は、水彩都市・江東にふさわしく、数多くの貴重な橋梁がありますが、まずは隅田川に架かる橋梁の重要文化財としての価値についてであります。
 永代橋と清洲橋につきましては、ともに関東大震災の震災復興橋梁として建設され、永代橋は「帝都東京の門」、清洲橋は「震災復興の華」とも呼ばれ、国の重要文化財に指定され、広く親しまれております。
また、近年ではライトアップにより夜間景観を美しく彩り、水辺のにぎわいを演出しております。
いずれの橋も優美なデザインは内外から評価されており、歴史的にも技術的にも存在価値は高いと認識しております。
 次に、橋梁の安全性の維持や架け替えについてであります。
 本区では、江東区橋梁長寿命化修繕計画に基づき、架け替え・改修などにより橋梁の延命化に取り組んでおります。
 橋梁の設計に当たり、景観はまちづくりを進める上で不可欠な要素であり、歴史的価値の高い橋梁においては、適切に保存・継承していく必要があると考えております。
 このような橋梁は、今後も安全性を確保しながら、架け替える場合でも可能な限りデザインを継承するなど、後世に残せる遺産として保存に努めてまいります。
 次に、JR貨物専用線に架かる鉄道橋についてであります。
 小名木川と竪川河川敷公園、さらに仙台堀川に架かる3橋の鉄道橋について、管理者であるJR東日本に確認したところ、2年に1度、点検を実施し、総合的な判断を行っているとのことであります。
 現在のところは安全性に関しては問題なく、改修計画はないと回答をいただいております。
区として、今後も定期的な点検及び適切な改修工事を要望してまいります。
 次に、観光遺産としての記念碑の設置の計画についてであります。
 区内には、橋の過去を振り返ると、その地域の歴史や文化などが反映されている橋梁が多くあり、観光遺産としての価値は十分あると認識しております。
 橋梁の歴史、記憶を残す手段としては、例えば平成25年に撤去した富士見橋では、旧橋の桁を使用したベンチを設置するとともに、歴史の説明板を設置いたしました。
 現在、架け替え中の清水橋、巽橋についても、旧橋の部材のモニュメント化や、架設当時の写真などを利用した説明板の設置を行うなど、後世に歴史を伝える表現方法を検討してまいります。
 次に、「下町文化」での復興橋特集についてであります。
 復興橋につきましては、文化財ではありませんが、本区の重要な貴重な観光資源と認識しております。
 「下町文化」では、15年前に永代橋と清洲橋が国指定重要文化財に内定した記念として特集記事を掲載いたしました。
また、まちあるきのための文化財まっぷでも特集記事を掲載したことがございます。
来年は関東大震災から100年の節目に当たりますので、改めて復興橋に関する特集記事を掲載するなど、本区の魅力発信に努めてまいります。
 次に、小松橋の塗装についてでありますが、橋梁の塗装計画を作成する際は、現橋及び架設時の色、周辺の環境などを調査した上で、区のまちなみ景観色彩ガイドを参考に、カラーコンセプトを定め、塗装色を選定しております。
 小松橋につきましても、色彩ガイドに指定された色彩基準や、小名木川の塩の道などの周辺環境との整合性を図った上で、塗装案を作成し、江東区都市景観専門委員会に諮り、意見を伺った上で決定したものであります。
 次に、江東区観光協会でフィルム・コミッションを進め、復興橋の価値を広めることについてであります。
 復興橋の歴史・文化、景観の美しさ等、橋梁全体としての価値を対外的にPRしていくことは、水彩都市・江東の魅力を広めていく上で非常に重要であると認識しております。
 御提案のフィルム・コミッションの業務は、ロケ地情報の提供のほか、ロケに必要な許認可調整、撮影支援等、多岐にわたるとのことであります。
お尋ねの復興橋の価値を広めることにつきましては、引き続き、江東区観光協会と連携し、積極的に対応を図ってまいります。
質問事項3
地域連携による中学生のスポーツ育成環境について
 江東地区のこどもたちでつくる江東ラグビークラブが、小学生の全国大会、ヒーローズカップで初優勝を果たし、代表選手が江東区ラグビー協会会長の山崎区長に、日本一達成の報告に来られました。
優勝おめでとうございます。
 江東ラグビークラブは、小学生からチームを増やし、中学生にもラグビーを通した育成活動に励んでいます。
 江東区では、学童野球やミニバスケット、剣道や柔道、空手道をはじめ、多くの各地区の団体や民間クラブが、スポーツを通じて児童・生徒の育成に御尽力していただいていることに感謝いたします。
 5月31日、スポーツ庁の有識者会議、運動部活動の地域移行に関する検討会議が開かれ、運動部活動の主体を学校から地域に移行させることに関する提言案を公表しました。
この提言案は、公立中学校の休日を対象としています。
部活動は、指導する教員の長時間労働や少子化で、学校によっては団体競技のチーム編成が難しくなっている背景があります。
2025年度までの3年間を改革集中期間として、外部指導員を企業やクラブチームからの派遣や、人材バンクの活用を検討するスポーツ庁からの提言案について当区の見解をお伺いします。
 学習指導要領では、部活動は学校教育の一環の課外活動とされており、金銭的な負担が少なく、放課後に学区内でスポーツに親しむことができる日本が世界に誇れるシステムですが、外部指導への確保と謝礼について、受益者負担となった場合の課題があります。
現場での教員の長時間労働の要因についての改善案があるのでしょうか。
 2018年3月の働き方改革でスポーツ庁が掲げた、主に中学での部活の上限時間を、平日は2時間、休日は3時間とし、休養日を計2日以上とするガイドラインは守られ、運動部活動の改定とされているのか。
学校現場での教員負担減への改善と、スポーツの課外活動の方向性があればお伺いします。
 最後に、民間クラブへの期待についてです。
 4月9日、夢の島競技場にて、ラグビーリーグワンの清水建設江東ブルーシャークスの対戦があり、江東区民が無料招待され、入場者数が2,300人を超え、多くの区民が応援に駆けつけ、本拠地としているチームの愛着を感じる試合となりました。
 5月28日の入替え戦も、江東区ONE TEAMプロジェクトとして、同じく区民が無料招待され、大差で勝利し、ディビジョン2に昇格できました。
 試合会場では、選手たちが競技場で温かく迎えてくれ、こどもたちとゲームを楽しむなど、交流の機会となっていて、江東区と連携協定し、ホストエリアとして夢の島競技場をホームスタジアムとしたチームです。
 B3リーグの公式試合参加資格が承認された東京ユナイテッドバスケットボールクラブも地域密着で、小学生対象の3×3大会開催、SDGsウォーキングやダンス講習、そして、区立中学校にバスケット指導員を派遣するなど、社会貢献活動をしています。
地域に根差したスポーツチームとその活動について、どのような認識を持っているのか、見解をお伺いします。
 渋谷区では、2021年10月、合同クラブの一般社団法人渋谷ユナイテッドを設立し、区立全中学校の生徒が誰でも参加できるクラブとして、9種目のクラブの活動を開始させ、民間の指導を受けた生徒たちが生き生きとした姿で取り組んでいるとのことです。
「他校の生徒と一緒にできることが楽しい」との意見もあり、生徒たちが希望する部のニーズが多様化していることから、各校の部活動とともに、併存させながら状況を見守っていくとのことです。
 同法人の運営は、地域に拠点があるチームや企業団体から指導を確保しています。
渋谷ユナイテッドのような一般社団法人化されたクラブで、区立中学校部活動の支援事業を実施することについての考えをお伺いします。
 清水建設江東ブルーシャークスをはじめ、区が積極的に連携協定するなど、江東区を拠点としている民間クラブや企業団体と連携して、課外活動への生徒育成についての指導者派遣の支援をしていただくことに、考えがあればお伺いします。
 SPORTS & SUPPORTSを掲げている江東区として、柔軟性を持って地域連携できる中学生のスポーツ環境の向上を期待して、質問を終わります。
質問事項3の回答
教育委員会事務局次長(杉村勝利)
まず、課外活動の地域移行についてであります。
 初めに、スポーツ庁において運動部活動の改革案が検討されている件についての見解ですが、5月31日にスポーツ庁の有識者会議が、指導者の確保策などを盛り込んだ提言案を取りまとめました。
 提言案では、部活動の受け皿として、地域のスポーツクラブや民間事業者なども想定するとともに、学校で教員が指導することが前提でなくなることなどに触れられており、動向を見据えながら対応を図る必要があると認識しています。
 本区では、既に部活動の振興を図る検討委員会を設置し、地域ごとの状況や学校の特徴を踏まえ、生徒にとって望ましいスポーツ環境を構築するという観点に立ち、部活動が地域、学校、競技種等に応じた多様な形で最適に実施できるよう、対応策の検討を始めております。
 次に、部活動に関する教員の負担を軽減するための改善とスポーツ等課外活動の方向性についてですが、既に平成20年度から主に技術的な指導を行う有償ボランティアである外部指導員を導入し、当該部活動に関する経験がない教員が顧問を務める際の支援を行っています。
 また、令和元年度からは、専門的な指導ができる教員がおらず、運営が困難な状況にある部活動に、教員の代わりに顧問として大会への引率等も行うことができる部活動指導員の導入も行い、教員の負担軽減を図っています。
令和3年度は10名配置でしたが、今年度は12名を配置し、充実を図っております。
 また、単に教員の負担軽減のみならず、その競技等の専門性を有する外部指導員や部活動指導員を導入することで、生徒がより専門的な技術指導を受ける機会にもつながっていると認識しております。
 今後は、中学生の放課後等の過ごし方の一つである部活動を持続可能なものとするため、休日の部活動を順次、地域のスポーツ団体等に移行することや、複数の学校による合同部活動の検討、教員の関わり方の改善など、様々な方向性を検討してまいります。
 次に、民間クラブへの期待についてのうち、地域に根差したスポーツチームとその活動についての認識です。
 近年、プロリーグに所属するスポーツチームは、自治体や地域と連携して社会貢献活動を行うことが求められており、地域と一体になったチーム運営や活動に取り組んでおります。
 本区は、スポーツ推進計画に基づき、清水建設をはじめとする3つのプロスポーツチームと連携協定を締結しております。
昨今はコロナ禍の影響により、十分な活動ができなかったスポーツチームはありますが、これらのチームの地域活動は区のスポーツ振興や地域活性化に大きな役割を果たしていると認識しております。
 次に、区立中学校における部活動の支援事業を実施することについてですが、本区におきましては、特色ある運動部活動としてカヌー部、セーリング部、女子サッカー部を設置し、区内の各中学校から生徒が集い、活発に活動しています。
 運営に関しましては、それぞれの部活動に拠点となる学校を指定するとともに、指導に当たっては高度な専門性を必要とすることから、区に拠点のある企業や団体に実技指導等を委託することで充実した活動となるように取組を進めております。
 外部との連携や協力に関するノウハウも蓄積されつつあるなど、地域移行に向けての好事例としながら今後も実施してまいります。
 次に、課外活動における生徒の育成に当たり、民間クラブや企業から指導者派遣等の支援を受けることについてですが、部活動の振興を図る検討委員会において、スポーツ団体や民間企業等からの指導者派遣を令和4年度に試行実施することとし、中学校3校と指導者派遣を行う3団体のマッチングを行ったところです。
現在、覚書の作成など、試行実施及び検証に向けた準備を進めております。
 今後は、国による財政支援の状況により部活動改革の在り方が変化することも想定しつつ、生徒が豊かなスポーツライフを実現する資質、能力を育む基盤として、運動部活動を持続可能なものとすべく、対応を図ってまいります。