令和2年6月10日 第2回定例会

質問事項1
財政運営について
 令和2年度の当初予算案では、「次なるステージへ みんながつながる飛躍予算」をキャッチフレーズに、過去最大の予算規模となる2,132億円強の予算が審議され、3月に決定し、新型コロナウイルス対策のセーフティーネット保証制度の補正予算(第1号)を経て、今期に入り、緊急対策として5月1日に山崎区長は、約40年ぶりの専決処分で特別定額給付金事業等の補正予算(第2号)をスピードを持って取り組みました。
 区民の生活面での不安や、仕事、商売をしている地域の方々にも支援をするために、区議会からも多くの意見を聞き、さらに5月25日に補正予算(第3号)を審議し、成立されました。
 当区においても、残念ながら区内関連施設にてクラスター発生が起きてしまい、また、緊急事態宣言発令に伴い、多くの区民や企業が自粛、休業を余儀なくされ、経済も停滞しましたが、区民皆様の頑張りで先月末から徐々に施設や飲食店も再開され、元の生活に戻る期待が膨らみます。
引き続き感染防止に努め、ともに協力し、経済が回復するよう改善努力が求められていると考えます。
 まず、感染対策による区財政への影響についてお伺いします。
 3度の補正予算の編成内容は、PCRセンターの開設を初め、区民生活、区内事業者、医療機関・従事者の3つを支える取り組みなど、支援の手が差し伸べられたことはありがたいことですが、一方で、今年度の補正予算額は総額約600億円にもなっています。
そこで、今までの補正予算について区の評価、区財政への影響についての見解をお伺いします。
 そして、安全・安心を守るために区民は自粛し、今後到来すると言われている第2波への備えや、新しい生活様式へ変化し続けるでしょう。
感染症が終息できない中、区は次の補正予算の編成についてどのように考えているかお伺いします。
 次に、歳入についてお伺いします。
 当区の主要な財源である特別区税と特別区交付金は、これまでの雇用・所得環境の改善や人口増加を背景に、堅調な推移を見せてきましたが、今後、特別区税は景気の悪化により、特別区交付金も企業業績の悪化により減収が懸念されます。
そこで、ウイルス感染拡大により、特別区税、特別区交付金を初め、今後、当区の歳入への影響をどのように見込んでいるか、お伺いします。
 また、国や都の補助金を積極的に活用することが必要と思いますが、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金など、補助金の活用方法についてお伺いします。
 さらに、歳入環境が厳しくなる中で、財政確保策が一層重要になると思いますが、財源確保に向けた取り組みについてもお伺いします。
 次に、今後の財政運営についてお伺いします。
 当区においての歳出増と歳入減が見込まれ、健全な区財政の維持が難しくなると推測しますが、今後、安定的な財政運営のために、基金や起債をどのように活用していくのか、認識をお伺いします。
 また、昨年度、長期計画とともに財政計画は策定されましたが、ウイルス感染症施策を受けて、当区の財政計画の見直しが必要であると考えますが、見解をお伺いします。
 さらに、難局を乗り越えるために当たり、財政運営上の課題をお伺いします。
質問事項1の回答
区長(山崎孝明)
初めに、財政運営についての御質問にお答えします。
 まず、感染症対策による区財政への影響についてのうち、これまでの補正予算への評価についてであります。
本区では既に一般会計では第3号、国民健康保険会計では第1号の補正予算を編成しており、区民の安全・安心を守る取り組みとして、給付金の支給や医療体制の強化を初め、こどもたちの学習環境の整備、商店街や中小企業への支援など、スピード感を持った対応ができたものと考えております。
 また、区財政への影響については、想定していない補正予算のため、財政負担は大きいものとなっておりますが、区民を幅広く支える取り組みとして必要不可欠であったというふうに認識しております。
 また、次の補正予算の編成についてですが、補正予算(第3号)を編成した後、国や都で追加の補正予算案が示され、加えて今後到来が危惧される第2波への備えが喫緊の課題となっております。
そこで、引き続き区民の安全・安心を守るため、新たな補正予算の編成方針を策定したところであり、迅速に予算編成を進めてまいります。
 次に、本区の歳入についてです。
 まず、歳入への影響見込みですが、現時点では、国による経済見通し等が十分に示されておりませんが、リーマンショックの際は、特別区税や特別区交付金で多大な影響があったと分析しております。
 本区の財政基盤は景気動向に大きく左右される脆弱な構造であることから、景気への影響が長期化すれば多額の減収は避けられず、区財政に大きな影響が生ずるものと思います。
 また、補助金の活用方法についてですが、今年度の補正予算編成では、特別区税等の自主財源の減収が懸念される中、国や都の補助金等の活用が必要となっております。
特に、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、原則、使途に制限がなく、地域の実情に応じて効果的に活用できることから、私は特別区を代表し、配分割合の拡充、増額を、首相官邸に赴き、たしか5月22日でありますが、総理大臣官邸に行きまして、国へ直接要望したところであります。
前回以上の配分を見込んでおりますが、区独自の施策にこれらは活用してまいります。
 さらに、財源確保に向けた取り組みについては、国や都の補助制度の情報収集及び把握に努め、最大限活用するとともに、あわせて自主財源の確保を図ってまいります。
 次に、今後の財政運営についてです。
 まず、今後の基金と起債の活用についてですが、財政運営上、基金は緊急時の備えや、将来にわたり安定的に施策を展開していくため、効果的な活用が求められます。
今後の予算編成においても、中長期的な財政運営にも考慮し、有効に活用してまいります。
 起債については、後年度負担を踏まえ、活用可能なものは有効に活用して、財源確保に努めてまいります。
 また、財政計画の見直しと財政運営上の課題についてですが、今後、本区の財政環境は非常に厳しいものになると予測され、財政計画の見直しが必要となります。
そのため、経済成長率と主要経済指標に基づき、改めて財政収支を算出するなど、具体的な財政計画の改定作業を進めてまいります。
 さらに、厳しい歳入環境の中で区民サービスの維持・向上を図ることが、財政運営上の最大の課題であると認識しており、区の総力を挙げ、難局を乗り越えてまいります。
質問事項2
長期計画の見直しについて
 前長期計画に続く、次なるステージとなる令和2年度からの新長期計画は、今までの堅実な取り組みにより健全な財政を守り、「安全・安心と支えあいの実感できる都市・江東」を実現するため、重点プロジェクトに区民の意見を反映させ、基本理念を守り、発展につなげていく計画を進めました。
 重要課題である地下鉄8号線の延伸と各7つの重点プロジェクトは、少しずつですが見直すことがあるのではないかと考えますが、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
 ウイルス対策で、財政面での変調が起き、前提であった行財政制度や税制度、国内総生産(GDP)の成長率を初めとした経済成長をもとに、着実に積み立てた基金や起債が見込めない場合の対策を必要とします。
感染症対策に伴い、主要事業の見直しも必要と考えますが、見解をお伺いします。
 地域によっては異なりますが、児童数増加による学校の改築や改修についての計画は進んでいるのでしょうか。
公共施設の老朽化に対して、江東区公共施設等総合管理計画に基づいた施設整備や改修計画、特に本庁舎建てかえを目指す庁舎建設基金の設置は、難しい局面を迎えるのではないでしょうか。
強固な財政基盤の維持と本庁舎建てかえについて、考えをお伺いします。
 改修の整備は必要とされていますが、新たな公園整備や、まちづくりにおける道路計画や橋梁等の整備事業計画にも影響が出てくるのではないでしょうか。
 そして、ウイルス感染対策の経験から、健康で安心して生活できる保健医療体制の充実として、感染症対策と生活衛生の確保の取り組みは、区民への適切な周知や応用訓練の実施に繰り返して取り組むことが必要です。
これから取り組める対応訓練とはどのようなものなのでしょうか。
引き続き、保健医療体制の構築の強化について、考えがあればお伺いします。
質問事項2の回答
区長(山崎孝明)
次に、長期計画の見直しについての御質問にお答えします。
 まず、長期計画に掲げる重要課題及び7つの重点プロジェクトの見直しについてですが、重要課題である地下鉄8号線の延伸は、本区のまちづくりに大きな影響を及ぼす政策的な課題であり、実現に向けた本区の強い姿勢を示しており、方向性は揺るぎないものであります。
 また、7つの重点プロジェクトについては、本計画の達成に向けて、重点的に取り組むべき課題や、各分野を超えて重層的に取り組む必要がある課題について掲げたものであります。
 今後、江東区長期計画の展開2021において、行政評価及び新型コロナウイルス感染症などの影響を踏まえるなど、社会状況の変化等に基づく新たな事業展開や既存事業の見直しなどをお示ししながら、計画の着実な実施を図ってまいります。
 次に、感染症対策に伴う主要事業の見直しについてですが、今後の区の財政見通しを踏まえた見直しは必要であると思います。
緊急性や必要性、区民サービスの影響など、見直しの基本的な考え方を整理した上で、行政評価を活用しながら全庁的に検討してまいります。
 次に、学校の改築や改修計画については、長期計画に基づき、校舎の老朽化への対応や、人口増に伴う収容対策を着実に進めております。
しかし、財政計画の見直しにより、施設の整備、改修に係る総事業費の縮減が想定され、工事の延期など、長期計画に掲げる施設整備や改修計画の全体的な見直しが必要であると認識しております。
 次に、強固な財政基盤の維持と本庁舎建てかえについてですが、庁舎建設に当たっては、詳細は未定であるものの、多額の建設費が見込まれることから、長期的かつ安定的な財政基盤が不可欠であると思います。
 今後の財政見通しも十分に踏まえながら、まずは、庁内で整備のあり方から検討してまいります。
 次に、新たな公園整備や道路計画、橋梁などの整備事業計画への影響についてですが、施設整備・改修計画の全体的な見直しに伴い、工事を先送りせざるを得ない事業が生じるものと認識しております。
 一方、施設によっては、地元調整を終え、既に設計や工事に着手しているものなど、施設ごとに進捗状況や緊急性、必要性を改めて精査しつつ、区民サービスの低下を極力招かないよう、慎重かつ丁寧に見直しを検討してまいります。
 次に、感染症対策における対応訓練についてですが、感染症の対応には、平時における専門知識の習得や実践的な対応訓練の定期的実施が重要となります。
 区はこれまで、鳥インフルエンザを想定した情報伝達や患者搬送の訓練、東京検疫所と連携した来日外国人の中東呼吸器症候群に対応する訓練など、感染症対応の技術の習得に努めてまいりました。
 今回の新型コロナウイルス感染症対応の経験を踏まえ、関係機関と改善すべき課題の抽出や検討を行い、平時の対応訓練に生かしてまいります。
 また、保健医療体制の構築の強化につきましては、今後の新型コロナウイルス感染症に関するPCR検査方法の拡充や、ワクチンの開発状況を踏まえ、医療機関との連携を強化してまいります。
質問事項3
災害時における避難所の改善について
 最初に、避難所に求められるものについてです。
 昨年、令和元年の9月には、地震行動方針に、温暖化による大規模水害の避難所対策が重ねて課題を残し、各地区避難所での対応を改善されないままになっています。
 一方で、近年、護岸整備や下水道の機能と排水ポンプ設備が強化され、新築、改築の学校はエレベーター設置され、障害者や高齢者が車椅子にて避難対応できる環境が進められています。
そして、巨大台風の直撃を想定した当区独自の避難所管理運営マニュアルの対処の必要性を受け、検討されてきたことでしょう。
 しかし、改めて新型コロナウイルス感染防止に努めながら、いつ何どき来るか想定できない大地震と大規模水害の際に設営される避難所は、どのようなことを考慮し、避難所管理運営マニュアルに追加協議されていくのかをお伺いします。
 このウイルス感染対策についての避難所運営では、学校と地域が学校避難所運営協力本部での協議では対処できないことばかりと推測します。
現時点では、参集せずに、マスクや消毒液等の設置備品を含めた充実ある整備の緊急体制構築について、学校や地域組織にしっかりと伝達できる施策を講じる必要があります。
 また、避難所の中心となる学校体育館では、マスクを配布し、出入り口ではアルコール消毒の処置、体温計での検査の対応、3密を避けるために避難者を分散させる必要が生じるため、2メートル間隔を確保するには、通常収容できる人数は半数以下で満員になる等、報道でも伝えられている想定が考えられます。
今後、避難所管理運営マニュアルによる感染対策を、どのように各学校や地域に伝達していくのでしょうか、お伺いします。
 風水害による避難情報では、できれば自宅待機をお願いするとか、安全な友人、親族宅への避難要請を呼びかけること、また、集合住宅の場合は、垂直避難を周知していくことが必要と考えます。
 今まで第一避難所は小中学校、第二避難所は大型公共施設ですが、区民館、出張所は含まれていません。
管理責任者の問題点はありますが、避難所を広域に拡大する必要がある地域には検討が必要でしょう。
 区内には、8校の都立高校と4校の私立中高一貫校があります。
都立高校は、東京都の指定では、震災時の帰宅者のための避難所となっています。
水害時は前もって避難の判断ができ、各企業からも早い段階で帰宅させる対応をしていますので、広域な避難所を確保して分散できる可能性があります。
 また、区内の協力企業の会議室や倉庫等も新たに待機できるエリアと考えられます。
このような避難所の分散使用について、公共施設の拡大も含め、考えがあればお伺いします。
 隣同士が3密を回避できる段ボール避難所キットや、校庭や運動場に各自が寝泊まりできる簡易テントを備蓄できれば、個々のプライベートが守られ、密集も回避できる方法も考えられますが、学校避難所の備蓄倉庫には余裕あるスペースはありません。
健康チェックや換気などの対策や発熱などの症状がある方への専用スペースを確保することも必要です。
孤立された方々への健康維持のため、保健師や看護師の待機などの課題について、考えがあればお伺いします。
 現時点で対応できる大震災と風水害、ウイルス感染についての多様なリスクを回避できるような対応方針を地域に開示することについて、意見をお伺いします。
 次に、学校避難所運営協力本部の組織についてです。
 現在、学校避難所運営協力本部開設では、学校側、行政側、町会を中心とする地域の協力者が20から30人参集して運営に携わっています。
行政が、密閉・密集・密接の3条件が重なる典型的な空間の避難所対策については、強制的な枠組みを示すのではなく、まず初めに、専門家の情報を参考とした柔軟な指針を開示することが大切であると考えます。
 現在、全ての避難所に設置されている学校避難所運営協力本部が、確固たる柱として地域住民の受皿にはなり得ていないと判断しますので、これからは指針を示す行政とともに地域が協議して、最大限に努力して難題を乗り切るチームワークが求められていると考えられます。
 学校長が避難所責任者ですが、児童・生徒の教育に専念することが本来の職務です。
集団感染を防止する対策が急務になっている避難所運営について、組織を改めていく必要があると考えますが、お伺いします。
 発熱やせきの症状が出た避難者には、専用のスペースの設置や看護と介護の対処もあり、多くの避難所が確保できたとしても、運営にかかわる職員や担当者が足りなくなるおそれがあります。
地域の災害にかかわる消防団や町会の災害協力隊だけではなく、組織編制を掲げ、改めて地域での新たなマンパワーを確保できるように呼びかけることは必要でしょう。
 町会と連携しているこどもたちを通した組織、例えばPTAやこども会に運営を補助してくれるマンパワーが確保でき、保健師や看護師もいると推測します。
そして、町会役員や青年部、婦人部にも、組織内に組み入れ、避難所を中心とした広域連携を組み直すべきだと考えます。
そして、青少年対策地区委員会と連携することにより、結束力を生むでしょう。
各地区でマンパワーを確保できる組織であり、チームワークを維持できる協力本部であることを願うところです。
 災害被害と感染爆発が同時に起きれば、医療は崩壊します。
命を守る環境整備の確保は急務ですので、ウイルス感染予防に努めるための避難所を中心として、地域連携組織の広域な拡大への考えや指針があればお伺いします。
質問事項3の回答
総務部長(石川直昭)
 まず、避難所に求められるものについてのうち、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を踏まえた避難所対応と避難所管理運営マニュアルへの追加についてです。
 区ではこれまで、地震や大雨による水害等の自然災害時における避難所対応について検討するとともに、マニュアルの策定を進めてまいりました。
しかしながら、今般の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、複合災害に対応するための課題を整理する必要があり、避難場所を確保しつつ、感染症の拡大を防止するための具体策を盛り込んだ対応方針の策定に向け、現在検討を進めております。
また、当該方針の策定後は、避難所管理運営マニュアルにも反映をしてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症に対応した避難所運営方法の周知についてです。
 今後、学校避難所運営協力本部を通じて、マスクなど備蓄資機材の情報や、避難所における間隔の確保等について、要点をまとめ、マニュアルや分かりやすい文書等での周知を図ってまいります。
 次に、避難所使用施設の拡大と分散使用についてです。
 避難所の確保に当たっては、密閉・密集・密接のいわゆる3密を避けることが重要と認識をしております。
このため、現在、拠点避難所としての区立小中学校のほか、文化センターやスポーツセンターなど、区の各施設の活用について検討しております。
 他方、都立高校等の施設につきましては、災害対策基本法上の指定避難所となっておりますが、連絡体制の構築や従事職員の配置等の課題があり、今後、施設側と協議等を進めてまいります。
 また、自宅での安全確保が可能な場合の在宅避難や、友人、親戚宅への避難も有力な選択肢であり、今後はこうした避難の考え方について整理するとともに、具体的な避難方法について検討してまいります。
 次に、感染症拡大防止のための対応についてです。
 まず、新型コロナウイルス感染症への備えとして、新たにマスクや消毒液を備蓄いたします。
また、非接触型の体温計や、避難スペースを区分けする資材等の備蓄についても、現在検討を進めております。
 こうした資機材の備蓄に加え、今後、保健所と連携し、避難者の健康状況チェックリストの策定や体調不良者の専用スペースへの収容のあり方、また、保健所の保健師による巡回相談体制についても検討いたします。
 また、避難所における自然災害やウイルス感染等、多様なリスクを踏まえた対応方針につきましても、ホームページへの掲載等、周知を図ってまいります。
 次に、学校避難所運営協力本部の組織についてのうち、組織のあり方についてです。
 現在、協力本部は、学校の教職員、区職員、災害協力隊、ボランティア等の代表者により構成され、定例的に開催される会議において、避難所運営についてさまざまな御検討をいただいております。
 他方、昨年の台風19号の際に、避難所の開設時における運営従事者の参集や、運営時における連絡体制等の課題が明らかとなり、その体制について改めて検証する必要があると認識をしております。
 また、実際の避難所運営に当たっては、地域の方々の広範な参画が肝要であると考えております。
 今後、地域団体との連携については、各学校避難所の運営協力本部連絡会議で、重点課題として検討をいたします。
質問事項4
小中学校授業・学習の環境について
 最初に、学習のおくれへの対策と課題についてです。
 文部科学省の新型コロナウイルスに関する学校の衛生管理マニュアルでは、学校の生活様式を示して、身体的に距離をできれば2メートル程度、最低1メートルは確保し、学年などで登校日を分ける分散登校などの検討を求めています。
 6月1日から徐々に分散登校していますが、現状どのように児童・生徒は登校して学校生活を過ごしているのでしょうか。
 学校教育のおくれが深刻化していることは、学校長を初め、教育にかかわっている現場の教員だけではなく、保護者の心配ははかり知れないものではないかと察します。
特に小中学校の新1年生については、新しい環境になじめずスタートしたわけですからなおさらです。
 文部科学省は、小中学校、高校の最終学年を除き、学習内容の一部を翌年度以降に繰り越して、特例的に最大2022年度に授業内容を組み直し、学習のおくれの対策例を通知したとのこと。
 繰り返し学び、さらに理解を深めていく授業内容をスライド的に繰り越していくことは、受験を迎える最終学年にしわ寄せのように課題が重なっていくように感じられます。
具体的に繰り越していける授業内容の科目や授業の方向性があればお伺いします。
 江東区立学校感染予防ガイドラインでも、夏季休暇期間を短くすることや、土曜授業の実施を検討するとのこと。
授業時間を短縮して、1日の授業のこま数をふやすことで、内容を積み重ねて克服するなども考えられますが、これらの対応で年度内に必要な課題を習得できるのでしょうか。
全学年で適切な指導に努めていただきたいと考えますが、学習おくれの対策と課題についてお伺いします。
 次に、オンライン学習と応用についてです。
 補正予算(第3号)でICT教育の環境整備が進み、オンライン学習アプリが導入される準備がされました。
これからの学習内容が発展的に改善され、効果がどのように評価されるかは、判断が先になりますが、eライブラリーアドバンス及びスタディーサプリを活用した家庭学習で復習できることや、これからの課題があればお伺いします。
 オンライン学習で望むことは、教師と児童・生徒が会話などの心を通じて交流して励ますことのできる機会が成立し、授業が一歩ずつ進んでいくことが確認できるシステムができることです。
 現段階では、ドリル学習や講師授業を学ぶ一方的な学習ですが、試行錯誤し、教員も学びながら授業構築に励み、後の評価を怖がらず、オンライン学習を進めていくことが大切と考えます。
これらの学習形態に補足できる施策があればお伺いします。
 感染リスクの高い教科では、例えば、町や商店を調べる校外学習や自然調査学習、運動会での組体操やマーチング演奏、中学校での合唱コンクールがあります。
これらの協調をしながらお互いに気持ちに寄り添うことができる体験学習は、児童・生徒の育成にはなくてはならない機会です。
いろいろな機会を得て、体験を通して、児童・生徒は学習していたのですが、ウイルス感染防止対策により重要な機会を失ってしまいます。
参加人数を少なくして、組体操や演奏や校外学習や調査学習を発表する機会はないでしょうか、模索します。
 いろいろな行事ができないことで、オンライン学習構築が一方通行でも成立できるのであれば、体験学習の発表する機会を保護者に見ていただくなど、区独自での授業マニュアルの策定を進めることについて、考えをお伺いします。
 次に、学習環境の改善についてです。
 学習内容を翌年度に繰り越すことを特例的に認めていますが、卒業を控える小6と中3は難しいため、継続的に授業を受けるために、学級を分ける少人数授業を編成するとのこと。
そのため、小中教員3,100人を増員して、加配教員を配置することが検討されています。
 また、学習内容のおくれを補習するための学習指導員追加や授業の準備を補うスクールサポートスタッフも増員する予定。
当区の場合、どのくらいの配置となり、補強される教員等の活用が想定されるか、お伺いします。
 熱中症リスク増大で懸念されていることは体育授業です。
スポーツ庁は、呼吸困難や熱中症のリスクを避けるために、体育する児童や生徒はマスクの着用は必要ないとの見解でした。
熱中症と感染防止の両方のバランスを見ての判断と思いますが、見解をお伺いします。
 最後に、夏休みが短くなったことで、8月7日金曜日までの登下校での暑さ対策についての防御はどうでしょう。
熱中症にならないよう水分補給して、冷却処置についての考えをお伺いします。
 登下校については、日々の安全を守ってくれた保護者の協力をいただいている経緯から、改めてPTAを通して検討をしなくてはならないと考えます。
感染防止のためのマスク着用で登校、教室では窓を開けて授業を行うのか、窓を閉めてエアコンを使用して授業を行うのか。
小学校低学年にはつらい学校環境になることが考えられます。
これらの推測される夏の熱中症対策について、考えをお伺いします。
 こどもたちの健康状態に最善を尽くし、学校と保護者がともに協力してこの難局をお互いに乗り越え、こどもたちの笑顔が取り戻される、新しい学校環境と生活が育むよう要望して質問を終わります。
質問事項4の回答
教育長(本多健一朗)
初めに、学習のおくれへの対策と課題についてです。
 私も学校の様子を実際に見てきましたが、今月1日から始まった分散登校では、学年ごとに登校日を定め、1つの学級を半分に分けて、午前、午後それぞれ3時間程度の授業を行っております。
 こどもたちは登校の際に、健康観察シートを提出し、健康状態を教員に確認してもらってから教室に入り、教室では一つ置きに座り、窓やドアをあけたまま授業を受けております。
また、トイレや水飲み場には密集を避けるためのラインが引かれ、間隔をあけて使用するなど、感染防止に留意しながら学校生活を送っているところであります。
 授業の繰り越しについてですが、基本的に年度内に終わるよう指導計画を立てており、今後、再び臨時休業等、やむを得ない状況が生じない限り、次年度への授業の繰り越しは考えておりません。
 また、授業時間の確保については、例えば、1日7時間の授業実施は、こどもたちにとって大きな負担になるため、設定しない方向で考えており、そのかわりに、夏休み等、長期休業の短縮やオンライン学習による授業の補完、行事の精選等を通して、こどもたちの学びの保証を確実に進めてまいります。
 次に、オンライン学習と応用についてですが、6月より新たな学習ソフトを導入し、オンラインでの学習をスタートさせております。
このソフトは、授業の動画を配信することが可能であるため、予習や復習、過去に遡っての学習にも活用しやすい点が特徴ですが、学校が本ソフトの効果的な活用について十分理解し、家庭の協力を得ながら活用していくことが課題と捉えております。
 今後は、ICTを学校と家庭における学習の一体化を進める新しい学習様式として位置づけるとともに、学校と保護者とのコミュニケーションツールとしても効果的に活用していきたいと考えております。
 また、体験的な学習の保護者等への発表についての御提案ですが、通常の体育や音楽の授業等で友達と協力したり演奏したりする活動等の様子を、写真や動画等で積極的に発信していくなど、学校と連携しながらさまざまな工夫をしてまいりたいと考えております。
 次に、学習環境の改善についてです。
 まず、教員の補強についてのお尋ねですが、本区では、既に小1支援員やスタンダード強化講師など、独自に確保している人材がおりますので、それらを少人数指導や補習等に効果的に活用することで対応してまいります。
 また、運動時のマスク着用については、御指摘のとおり、熱中症や呼吸困難のリスクもあるため、マスクを外した上で、十分な間隔をあけ接触を避けるなど、活動を工夫して事故のないよう適切に対応をしてまいります。
 また、暑さ対策については、水筒を持参させるなど対策を進めていくとともに、校内においては、冷房の活用と換気を交互に行いながらの授業となると考えております。
 さらに、健康観察シートをコロナ対策以外にも効果的に活用し、こどもたちの体調管理について、家庭と学校が連携をしながら適切な対応を進めてまいります。